指定学科と複数業種の実務経験は、専任技術者となるための次の要件を検討する際に確認する必要があります。
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、以下のとおり一定期間以上の実務経験を有する者
- 「大学又は高等専門学校」指定学科卒業後「3年以上」の実務経験を有する者
- 「高等学校又は中等教育学校」指定学科卒業後「5年以上」の実務経験を有する者
- 「10年以上」の実務経験を有する者
- 複数業種について一定期間以上の実務経験を有する者(※)
(※)許可を受けようとする業種について8年を超える実務経験がある場合に、その他の技術的な関連が認められる業種の実務経験をも合わせて計算した実務経験の合計期間が12年以上ならば専任技術者となり得る資格を有します。
(再掲です。詳細は「専任技術者とは?(指定建設業?)」をご覧ください)
(※)許可をうけようとする業種で8年超+下の表③の欄の業種でA年=12年以上
この許可を受けようとする業種に関して8年超えの実務経験は必須となります。
下の表では、許可を受けようとする業種を①の欄に、指定学科を②の欄に、許可を受けようとする業種に関して必須となる8年超えの実務経験と合算できる実務経験を③の欄に示します。
①許可を受けようとする業種(◎は指定建設業を示します) | ②指定学科(以下に関する学科) | ③合算できる実務経験 | ||
◎土木工事業 |
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、緑地又は造園に関する学科を含む。以下同じ)、都市工学、衛生工学又は交通工学 | |||
◎建築工事業 | 建築学科又は都市工学 | |||
大工工事業 | 建築学科又は都市工学 | 建築工事業及び内装仕上工事業 | ||
左官工事業 | 土木工学又は建築学 | |||
とび・土工工事業 | 土木工学又は建築学 | 土木工事業 | ||
石工事業 | 土木工学又は建築学 | |||
屋根工事業 | 土木工学又は建築学 | 建築工事業 | ||
◎電気工事業 | 電気工学又は電気通信工学 | |||
◎管工事業 | 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学 | |||
タイル・れんが・ブロック工事業 | 土木工学又は建築学 | |||
◎鋼構造物工事業 | 土木工学、建築学又は機械工学 | |||
鉄筋工事業 | 土木工学、建築学又は機械工学 | |||
◎ほ装工事業 | 土木工学、都市工学、衛生工学又は交通工学 | |||
しゅんせつ工事業 | 土木工学又は機械工学 | 土木工事業 | ||
板金工事業 | 建築学又は機械工学 | |||
ガラス工事業 | 建築学科又は都市工学 | 建築工事業 | ||
塗装工事業 | 土木工学又は建築学 | |||
防水工事業 | 土木工学又は建築学 | 建築工事業 | ||
内装仕上工事業 | 建築学科又は都市工学 | 建築工事業及び大工工事業 | ||
機械器具設置工事業 | 建築学、機械工学又は電気工学 | |||
熱絶縁工事業 | 土木工学、建築学又は機械工学 | 建築工事業 | ||
電気通信工事業 | 電気工学又は電気通信工学 | |||
◎造園工事業 | 土木工学、建築学、都市工学又は林学 | |||
さく井工事業 | 土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学 | |||
建具工事業 | 建築学又は機械工学 | |||
水道施設工事業 | 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学 | 土木工事業 | ||
消防施設工事業 | 建築学、機械工学又は電気工学 | |||
清掃施設工事業 | 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学 |
◎合算できる実務経験に関しては、基本的には一式工事である「土木工事業」又は「建築工事業」での経験となります。但し、専門工事でも「内装仕上工事業」と「大工工事業」については相互に合算することが認められています。
Q&A
タイル・れんが・ブロック工事の経験を7年有する者が、その後左官工事を7年経験した場合、その者が専任技術者になれる業種は?
残念ですが、この場合はありません。
まず、許可を受けようとする業種に関して「10年以上の実務経験を有する者」には該当しません。
次に複数業種の合算についての検討ですが、合算できる業種の組み合わせではないため専任技術者になれる業種はないこととなります。
仮に、合算できる業種の組み合わせであったとしても、許可を受けようとする業種に関して「8年を超える実務経験を有する者」には該当しないため、やはり専任技術者にはなれないこととなります。
タイル・れんが・ブロック工事と左官工事を兼業で10年経験した場合、その者が専任技術者になれる業種は?
タイル・れんが・ブロック工事業又は左官工事業のどちらか1業種の専任技術者となることができます。
経験期間が重複しているものにあっては2重に計算しないこととされているため、2業種で専任技術者となることはできません。
この場合に2業種について専任技術者となりたいときは合計20年以上の経験が必要となります。
つまり、原則として業種数に10年を掛けた期間の経験が求められるということです。
大工工事の経験を9年有する者が、その後内装仕上工事を3年経験した場合、その者が専任技術者になれる業種は?
大工工事業について専任技術者となることができます。
まず、許可を受けようとする業種に関して「10年以上の実務経験を有する者」には該当しません。
次に複数業種の合算についての検討ですが、大工工事業と内装仕上工事業は相互に合算できる業種の組み合わせです。
合算した期間は12年以上となりますので合計期間の要件は満たしています。
しかし、今回のご質問のケースですと許可を受けようとする業種に関して「8年を超える実務経験を有する者」に該当するのは大工工事業のみです。
よって大工工事業でのみ専任技術者となることができます。
仮に内装仕上工事業での経験も9年だった場合には、大工工事業及び内装仕上工事業の両方で専任技術者となることができます。